相談の場面
石巻市内で店を構える割烹の板前から、こんな悩みを打ち明けられた。
「仕入れた魚の下処理に時間を取られて、肝心の仕込みに割ける時間が減っている。うちは小さい店だから、人を増やすわけにもいかない」
質の良い魚を仕入れられても、うろこ取りや骨抜きといった下処理に手間がかかれば、その分だけ調理や味づくりに使える時間が削られる。飲食店にとっては切実な課題だった。
向き合い方
「加工を代行する」という発想自体は難しくない。ただし、板前が求めているのは単なる下処理済みの魚ではなく、「その日の仕込みにそのまま使える状態」だった。求める仕上がりの基準は店によって違う。
そこで、何をどこまで加工すれば板前の手間が本当に減るのか、実際に厨房での作業を見せてもらいながらすり合わせることから始めた。
検討プロセス
一次加工を請け負う場合の工賃と、店側が浮く仕込み時間を照らし合わせ、双方にとって無理のない価格帯を探った。また、鮮度を保ったまま店に届けるための納品スケジュールも合わせて検討し、開店前の仕込み時間に間に合う配送体制を組めるかを確認した。
まずは1店舗、1魚種から試験的に始め、板前の評価を見ながら対応範囲を広げていく進め方で合意した。
研究・プロセス化
店ごとに求める加工の仕上がりが異なるため、要望を工程ごとに言語化し、加工手順書として整理した。骨の抜き方ひとつ、身の切り方ひとつにも店の個性があり、標準化しすぎると逆に使いにくくなることも分かってきた。
約2ヶ月の試行錯誤を経て、店ごとの仕様を守りながら効率的に加工する手順が確立し、開店前の納品も安定して回るようになった。
継続・蓄積
この取り組みをきっかけに、一次加工とCAS冷凍納品を組み合わせたシェフアシスト事業として体制が整い、現在は複数の飲食店から継続的に相談を受けている。
「うちの店の仕込みに合わせてくれる」という評判は、次の相談を呼ぶ最も確かな入り口になっている。
同じような「やったことない」を、いま抱えていませんか。